桜木町の駅を降りて紅葉坂を歩くこと10分、伸びやかな水平ファサードの音楽堂にたどり着きます。
この建築は、1950年代に完成し、モダニズムの影響を色濃く残しています。
ただ、純正なモダニズムの中にも、有孔レンガの表現など、独特の温かみが感じられ、私は好きな作品です。
一般的に、前川氏の作品は力強い表現が多いとされます。
しかし、この音楽堂には知的とも思われる、シャープな印象を受けます。
それは、コンクリート柱の径やスパンの適正さ、スチールサッシュの見付寸法、開口部と壁面のバランス、全体的なプロポーションなどから、感じられます。
完成後60年の年月を経ても色あせず、多くの人々に愛され、現役で使われています。
時間に向き合っても風化することのない建築、私の目指すところでもあります。
帰りは裏手にある掃部(かもん)坂公園をゆっくりと廻り下り、自然に駅方面へアプローチ出来ました。
同じく前川氏が設計した、隣接する県立図書館も素晴らしい建物です。