静岡県御殿場市にある、倫理研究所の研修所を見学してきました。

設計は建築家・内藤廣氏。

車で向かうこと1時間半、富士山麓の静かな立地に、建築は毅然とした表情で建っていました。

外壁は、ピッチの細かいガルバリウム鋼板竪ハゼ葺きと、米松羽目板のスクリューボルト締め。

ファサードは窓が少なく、禁欲的、厳格な構成です。

約2mに抑えられたキャノピー、エントランスを入ると、天井の高く梁架構アラワシの大空間に導かれます。

そう、まさに洪水の様な架構の下、ワインレッドのカリン縁甲板のフローリング、杉羽目板型枠の打ち放しコンクリートの壁など、素材が共鳴しています。

明るすぎず、暗すぎず、光の濃淡が程よくきいていて心地良い。

「折り目正しい、キチンとした建築を造りたかった」とは、内藤氏の言葉。

そんな中でも、アプローチにある20mを超えるコンクリートの水盤や、出土した溶岩石を積んだ擁壁など、音の涼やかさや視線を配慮した設計はやはり素晴らしい。

外観は厳しくも、内観は温かみのある懐深い空間に出会いました。