東京都練馬区にある牧野記念庭園に行ってきました。
植物学者、牧野富太郎博士が晩年を過ごした場所が、植物庭園になっています。

都内に出た際に、時々フラ~っと寄ります。

園内は300種あまりの植物、高さのある木々に囲まれ、薄明るくて静かです。
庭はきれいに手入れされていますが、コジンマリしていません。
植物達が適度に野放図にされている感じが、逆に気持ちよいです。

展示中の牧野さんの言葉に「跋渉(ばっしょう)の労を厭わない」というのがありました。
植物の新種は、山に登り、森林に分け入り、川を渡り、沼に入り、原野を歩き廻って発見できるのであって、しんどい事は避けては駄目だとの事です。

ただ、そこに写っている牧野さんの顔はいつもニコニコしています。
野外採集でも、フロックコートを着て、胴らんを袈裟懸けにして、笑顔でみんなの先頭を歩いている。
口元に笑みを浮かべながら、一心にルーペをのぞいている。
植物に囲まれていつも笑っている。笑みがこぼれる。

ここまで気持ちよく笑っているって、なんだろうか。

植物の美しさ、豊かさ、おもしろさ、ありがたさ、それらを楽しんでいるのでしょうか。
研究が、楽しくて楽しくて、しょうがないのでしょうか。
多分、仕事と私生活の境界は無く、そんなこと別に気にしなかったのか・・・。

牧野博士の独特のユーモラスな雰囲気が好きです。

展示室の設計は建築家・内藤廣。
建築は伸びやかでおおらかでありながら、チャラついていません。
奥へ奥へとシークエンスが広がり、包含される広がりに引き込まれていきます。

高知県にある本館もすばらしい建物です。