設計の初期エスキスは、よく頭と手が同時に相談しなければならないと言われる。
敷地図面の上に太めのシャーペンでフリーハンドで描き出す。
モヤモヤとしたイメージが浮かび、繋がり、まとまり、破綻し、振り出しに戻る…。
これを繰り返す。
最後に、また太めの濃いサインペンでまとまりをなぞる。
そして、消しゴムで不要な鉛筆の線を一気に消す。
ちょっとしたカタルシスにも似た、爽快感がある。
私は結構、手の感触や描いた線の善し悪しを信じる。
建築家・村野藤吾は、晩年まで自身で粘土を削り出してモックアップを創っていた。
ルイス・I・カーンも、ワイシャツの袖をまくって、所員に混じって自身で模型を創っている写真が残る。
数学者のガウスは、問題を鉛筆を使って、手を動かして解く事を大切にしていた。
単純な計算問題もめんどくさがらずに解いているうちにリズムが生まれ、難問解決につながることが多々あったという。
手が考えてくれる 。
思考が手によって形になる。