著者は、高輝度青色発光ダイオードーの発明者である。
会社、社長の命令を徹底的に無視し、己の勘を信じ、「孤独と集中」を武器に研究に埋没する。
その姿は、青い光に取り付かれたデーモンさながらの感がある。
企業戦士とは何か、本当にやりたいこととは何か、己の心にストレートに深く問いかける。
中村氏の研究姿勢は、全ての人々に共感をもって受け止められないだろう。
ただ、個々の限られた時間内で、それぞれの生を全うする時、より鮮やかに生きるとは何か、考えさせられる。
世間知らずを自嘲する中村氏であるが、「科学は人間に役立つものを作るためにある」、「物質とはなんなのかを知りたい」など、知への好奇心は純粋である。
似非ヒューマニズムを蹴散らす、胸のすくような1冊です。