現場監理で、楽しみにしている工程があります。

そのひとつが、鉄筋の配筋チェックです。

木造住宅では、基礎のコンクリートを流し込む前に行います。
基礎はコンクリートと鉄筋から出来ています。
コンクリートは圧縮に強く、鉄筋は引っ張りに強い為、鉄筋コンクリートは両者の性質を補う形で成り立っています。

だいたい現場には、鉄筋が組み終わった後に行くことが多いです。
チェックをしながら、「きれいだな」と思います。

配筋、まさに鉄を配っています。
くもの巣のように、力の分布、疎密、流れが見えてきます。

鉄筋は見えなくなりますが、非常に大切な要素です。
定着、かぶり、継ぎ手長さなど、チェック項目は沢山あります。

整然と組まれた鉄筋からは、職人の矜持を感じます。
鉄筋職人は究極の裏方ではないでしょうか。
隠れる部分に精魂込めて組んでいきます。

打設時にはアノニマスなコンクリートに呑み込まれていきます。
しかし、見えなくなった鉄筋は生きているのです。
そして、堅牢な基礎が出来上ります。

現場を訪れたクライアントの「見えないところに手がかかっているんですね」という言葉を聞くと、救われた気持ちになります。